Jony Ive の Steve Jobs 追悼スピーチ吹き替え

初出: 2012/6/3

Jonathan Ive 卿が Steve Jobs の追悼するけぇ、よう聞きんさい

広島弁吹き替えシリーズ第9弾は Jony Ive の Steve Jobs 追悼スピーチを吹き替えです。 (よろしければ広島弁吹き替えシリーズの他の吹き替えもご覧下さい。)

第23回 日英・英日翻訳国際会議 (IJET-23) というところでなんと発表の機会をいただき、講演の最後に "One more thing..." として、この Jony Ive 卿による Steve Jobs 追悼スピーチを、生吹き替えしました。

次の動画は事前に(保険のため)録音しておいたバージョンです。

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2011/10/19 Apple 本社で行われた Steve Jobs 追悼式 Celebrating Steve にて、 Jonathan Ive 卿 (Apple Inc. のデザイン担当上級副社長) が行った追悼スピーチです。

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反響

講演最後にこれの「生吹き替え」に挑戦したのですが、聞いてくださった方を泣かしてしまいました! 涙ぐんだ方もいらっしゃいました。

Twitter

  • 「明日からの直島に備えて寝なきゃだけど、頭の中をこの週末がまだグルグルしてる。最後に聴かせてもらった @NeXTSTEP2OSX さんのセッション、途中で笑いと拍手が交互に4、5回は起きていた。あの時あの部屋にいた皆が、あーここにいて良かった!と思ったはず。」 @Fucchi_Yさんより
  • 「アップルファンか否か、日本語ネイティブか英語ネイティブかを問わず、すばらしかった!という声を多数聞きました。」@Fucchi_Yさんより
  • 「もうパロディってレベルじゃないっ!翻訳と吹き替えに愛すら感じました。あ。。鳥肌が…」 @Jacminikさんより
  • 「広島弁の濃さとナチュラルさに毎回感動するし疑問なんだけど、にょほうさんほんとはいったいおいくつなんですか。20歳くらい年ごまかしてませんか。」@makurachan73さんより

ブログ

筆記録 (transcript) と翻訳

筆記録と翻訳 (広島弁のみ) を書いております。広島弁学習などに参考になさって下さい。

そりゃいいんですけど「ここ英語が間違っとるよ」とか「英語の解釈がおかしい」とかあったらどしどし教えて下さい。 というより英語勉強中ですので、むしろそういうのは積極的にご指摘いただければとても勉強になりますし喜びます。

Steve used to say to me (and he used to say this a lot), "Hey Jony, here's a dopey idea."

スティーブはわしにようこう言うとったんよ、何遍も言いよったんじゃけどね。「よう、ジョニー、あほみたいなアイディアなんじゃがのう」いうて。

And sometimes they were -- really dopey.

そしたら、その通りのときもあったわ。ほんまにあほみたいなんじゃった。

Sometimes they were truly dreadful.

ほんまにひどいときもあったよ。

But sometimes they took the air from the room, and they left us both completely silent.

じゃけどたまに、そのアイディアが部屋の空気をつかんでから、 わしらが完全にだーまってしまういうときもあったんよね。

Bold, crazy, magnificent ideas.

奇抜で、クレイジーで、崇高なアイディアでね。

Or quiet, simple ones, which in their subtlety, their detail, they were utterly profound.

それとか、控えめで、シンプルで、その繊細さ、細部の中に、ほんまに深いもんがあったりのう。

And just as Steve loved ideas, and loved making stuff, he treated the process of creativity with a rare and a wonderful reverence.

ちょうどスティーブがアイディアとか物作りを好きじゃったみたいにね、スティーブはほんまになかなかないような尊敬の心でクリエイティビティのプロセスを扱いよったんよね。

You see, I think he, better than anyone, understood that while ideas ultimately can be so powerful, they begin as fragile, barely formed thoughts, so easily missed, so easily compromised, so easily just squished.

(みんなもわかっとるじゃろうけど)わしゃ、彼は誰たあわかっとった思うんよ「アイディアいうもんは、最後には ものすごい力を持つことになりうるんじゃけど、最初はもろうて、ほとんど形にもならんもんでから、ものすごいみやすうないよんなったり、もんのすごいみやすうに妥協されたり、ものすごいみやすうめげてしまうもんじゃ」ーいうことをの。

I loved the way that he listened so intently.

わしゃ彼がものすごい熱心に聞く聞き方が好きじゃった。

I loved his perception, his remarkable sensitivity, and his surgically precise opinion.

彼の洞察力、すごい感受性、ものすごい正確な意見が好きじゃった。

I really believe there was a beauty in how singular, how keen his insight was, even though sometimes it could sting.

わしゃほんま信じとるんよ、えらい特異でえらい熱心な彼の洞察の中に、美があったのういうて。ときにゃあそりゃとげがあったがの。

As I'm sure many of you know, Steve didn't confine his sense of excellence to making products.

みんなよう知っとってじゃあ思うけどね、スティーブの素晴らしいセンスは製品作りにとどまらんかったんよね。

When we travelled together, we would check in and I'd go up to my room.

一緒に旅行に行ったときにゃあね、二人でチェックインしてから、わしはわしの部屋に入るわいね。

And I'd leave my bags very neatly by the door.

そしたらわしゃあかばんをドアの側にきちんと置いといてからね。

And I wouldn't unpack.

ほいでわしゃ中身は絶対出さんのんよ。

And I would go and sit on the bed.

ほいでわしゃベッドんところ行ってから座っとくんよ。

I would go and sit on the bed next to the phone.

わしゃベッドんところ行って座っとくんよ、電話が隣にあるけえ。

And I would wait for the inevitable phone call: "Hey Jony, this hotel sucks. Let's go."

ほでそこで絶対来る電話を待つんよ。「ようジョニ、このホテルわやじゃ。出ようでー」いうて。

He used to joke that the lunatics had taken over the asylum, as we shared a giddy excitement spending months and months working on a part of a product that nobody would ever see. Well, not with their eyes.

スティーブはよう「精神病患者が精神病院を支配した」いうジョークを言いよったんよ。 そりゃあ、誰も絶対見ることがない製品の一部に何ヶ月も何ヶ月も費やす、めまいがするような興奮を共有してきたけえなんよね。 目で見てもらえるけえじゃあのうてね。

We did it because we really believed that it was right because we cared.

なんでわしらがそこまでやったんかいうたら、わしらがやるけえ、そりゃ正しいんじゃあいうてほんまに信じとったけえなんよ。

He believed that there was a gravity, almost a sense of civic responsibility, to care way beyond any sort of functional imperative.

彼はなんか重力があるいうて信じとった。ほとんど市民としての責任みたいなことで、機能的な必要なもんの類をはあ超えるもんをいらういうことでのう。

Now, while the work hopefully appeared inevitable, appeared simple and easy, it really cost.

あの、作品は、必然性があって、シンプルで、みやすいもんに見えて欲しいんじゃけど、そりゃほんまやねこい。

It cost us all, didn't it?

わしらみなやねこいじゃろ?

But you know what, it cost him most.

じゃけど、なんかわかろうがや? 彼が一番やねこかったんよ。

He cared the most.

彼が一番気をもんどったんよ。

He worried the most deeply.

彼が一番深う心配しょうったんよ。

He constantly questioned, "Is this good enough? Is this right?"

彼は常々聞きょうたわいねえ「これでええんかのう? これが正しいんかのう?」いうて。

And despite all his successes, all his achievements, he never presumed, he never assumed that we would get there in the end.

彼の成功とか成し遂げたことにゃ関係なしに、彼は最後にはたどり着くとは、絶対思わん、絶対仮定せんのんよね。

When the ideas didn't come, and when the prototypes failed, it was with great intent, with faith, he decided to believe we would eventually make something great.

アイディアが出んかったときとか、プロトタイプが失敗したときに、大きい意志と確信とともに、いやわしらはいつかはものすごいええもんを作ることになるんじゃーいうて信じるいうて彼は決めとったんよ。

But the joy of getting there.

じゃけど、そこにたどり着いたときのうれしいこと。

I loved his enthusiasm, his simple delight. Often, I think, mixed with some relief. But, yeah, we got there.

わしゃ好きじゃったわ、彼が熱中したり、無邪気に大喜びするのが。(安心した感じもよう混ざっとった思う) ああ、わしら着いたわ。

We got there in the end and it was good.

わしらとうとうたどり着いたんじゃ。でそれがええもんじゃった。

You can see his smile, can't you?

彼の笑顔が見えるじゃろ?

The celebration of making something great for everybody. Enjoying the defeat of cynicism. The rejection of reason, the rejection of being told a hundred times, "You can't do that."

みんなのためにすごいもんを作ることを祝うて。 皮肉を打ち破ることを楽しみ、道理は拒絶、 何百回も「あんたあ、そりゃできんわ」いうて言われることも否定できるんでよ。

So his, I think, was a victory for beauty, for purity, and, as he would say, "for giving a damn".

じゃけえ彼の・・・わしゃ思うんじゃけど、そりゃ美の勝利なんよ。純粋さの勝利なんよ。彼は気にすることの勝利じゃいうて言いよったけどね。

He was my closest and my most loyal friend. We worked together for nearly fifteen years.

彼はわしの最も近い、最も忠実な友達じゃった。わしらあ、15年近く一緒に仕事した。

And he still laughed at the way I said "aluminium".

で、彼は未だに笑うとったで、わしの「あるみにゅ〜む」いう言い方をね。

For the past two weeks, I think we've all been struggling to find ways to say goodbye.

この2週間、わしらみんな「さいなら」いうのをどうがいにして言やあええんかのういうて、辛苦しょうたん思うんよ。

This morning I simply want to end by saying, "Thank you, Steve."

今朝は、わしゃシンプルに終わりたいのう思う。 「スティーブ、ありがと」いうて。

Thank you for your remarkable vision, which has united and inspired this extraordinary group of people.

ありがと、そのものすごいええビジョンに対して。そのビジョンでここにおっての並外れた人らをいっこんにまとめて、奮い立たせてきたよの。

For all that we have learned from you, and for all that we will continue to learn from each other: Thank you, Steve.

あんたからわしらが学んできた全部のことに対して、ほいでわしらがこれからもお互いから学び合い続けることに対して。スティーブ、ありがと。

ミニ広島弁講座

わや
ぐちゃぐちゃであるさまを表す。例文「やーや、こりゃわやじゃ」
やねこい
大変だ、きつい、苦しい、難しいというようなニュアンスです。今回は cost をやねこいと訳してみました。どうでしょうか。

彼の「アルミニウム」がなぜ Steve に笑われるのか

Sir Jonathan Ive はイギリス人であり、聞いての通りのばりばりのイギリス発音です。

アルミニウムは、特にここ数年の Apple にとって大事な素材です。 アルミニウムが話に登ることはたびたびあったんでしょう。

Steve Jobs を含めて多くの Apple 社員はアメリカ人ですから aluminum (あるーまなm) と発音し、 アイヴ卿は aluminium (アルミニウムに近い) と発音しており、 アメリカ発音の皆さんにとっては彼の発音は特に滑稽な感じなのだと思われます。 しかし差別的な意味ではなく、親しみを込めて馬鹿にし合うという、よくある男の友情のように思えますね。わしには少なくとも。映画グラントリノのような感じではないでしょうか。

この広島弁ではその感じを少しでも出そうと、共通語の日本語である「アルミニウム」ではなく「あるみにゅーむ」と発音してみています。どうでしょうか?

YouTube 再生回数の推移

  • 6/5 8:00 ごろ 0
  • 6/6 8:30 2,204
  • 6/7 23:30 12,742
  • 6/10 10:00 16,440

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更新日時:2020/04/06 07:26:22
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