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ワタタツの日記!

2017 年 9 月 21 日 (木)

初 RubyKaigi 参加で初 RubyKaigi オーガナイザをしてみて

いやはや広島で開催された RubyKaigi 2017 がついに終わりました〜! 楽しかった〜! そして広島であったことは本当に貴重な機会 (RubyKaigi (本体) が広島に来ることがいかに貴重なことか) でした〜!

なんとわしは、RubyKaigi に一度も参加したことがないのに、広島ローカルオーガナイザとして名を連ねてしまい、数ヶ月間、毎年されている東京チームを含むチームと一緒に、準備のごく一部をやってきました。

スタッフのお仕事の感想と、RubyKaigi の感想を記しておこうと思います。

広島ローカルオーガナイザ

選出

RubyKaigi が昨年から東京を離れ、全国行脚開催になり、現地のスタッフが求められるようになったので、チームの中でも、今回は広島のスタッフが作られました。その「広島でスタッフになる人」の中でも特に、オーガナイザ として東京チームと密に連絡・準備をする人を3人ぐらい選ぶことに。

しかし、ほぼ全員 RubyKaigi 本体に参加したことがないという Hiroshima.rb なので、どうしょうかしらんという状況でしたが、まずは Hiroshima.rb 創始者の @eielh はもちろんやるとして、あとはにしもつ (@24motz) さんとわしがオーガナイザになりました。そしたら @eielh入院してしまったので、著しく機動力の高い tkt (@takatayoshitake) さんが追加でオーガナイザになりました。

わしの Ruby・Rubyists 周りの知識

広島に RubyKaigi に参加したことがある人がほとんどいないので仕方が内のですが、特に、わしはプログラマでもないし、Ruby や Rubyists のことをよくわかってないので、普通だったらオーガナイザになるような人ではないのでありました。

参考までに、どのぐらいわしが Ruby, Rubyists 周りのことを知らないのかを述べておきます。

  • Rubyists 知識
    • @tdtds さんは tDiary の人だな
    • @hsbt さんは tDiary の人だな
    • @machu さんは tDiary の人だな
    • @a_matsuda さんは Rebuild で RubyKaigi について語っておられた方だな
    • 笹田さんは Rebuild でギルドとかいうのを話しておられた方だな
  • Ruby について
    • Ruby のクラスとモジュールの違いがわかっていない (東京チームの広島での下見のときにも、それを自己紹介にした)
    • gem を作ったこともない
    • CRuby のソースをほとんど読んだことない
    • ビデオでは過去の RubyKaigi を少しは見たことがある

こんな具合です。はっきり言って RubyKaigi のことを全然知らない状況です。

そんな人が RubyKaigi のオーガナイザの一人としてやってきた感想です。

結果: たずさわったけど役に立てたとは言いがたい

結果、オーガナイザとしてはなかなか役に立てたとは言いがたい状況ではありました。

東京チームの準備はすさまじい

東京チーム、あ、Akiさんもいるから「東京チーム」ではないか、まあ広島じゃないスタッフのチームの方々の仕事量はすごいと思いました。

それはもう RubyKaigi 例年開催されてきたノウハウの蓄積があるというのは大きいでしょうが、それでも、会場との連絡、スポンサ募集・やりとり、公式サイトやその他のデザイン、提案の募集・採択、Doorkeeper チケット管理、ビザ発行手続き、ノベルティ作り、ネットワーク構築準備、などなど、それはもうたくさんのタスクがありました。

これらを非同期コミュニケーションツールを駆使して実行されていました。さらに同期的に、スポンサ様の会社へ物理的に出向いてお話をされることも何度もされていました。

コナミ環でしかありませんが、これらを毎年回しているのは本当にすごいと思いました。特に開催2、3ヶ月前ぐらいになってくると、

それに比べて……汗汗

上の「東京 + 神戸チーム」のすさまじい仕事量に比べたらわしはほとんど何もしていないような状況です。わしは一体何をしたのか思い出せない。非同期コミュニケーションツールで、広島の他のスタッフとの質問連絡をしたり、茶々を入れていただけのような気がする……(((;゚Д゚))ガクガクブルブル

@24motz さんは、広島県の職員の方々との連絡など、やはり広島ローカルオーガナイザとしてばっちしでした。しかも異色の講演者でもあり (What visually impaired programmers are thinking about Ruby?) さぞ大変だったでしょう。

@takatayoshitake さんなんかは After Party でそごう広島店本館屋上のビアガーデンを押さえたり、 RubyKaraoke でカラオケ館を押さえたり、ばっちし広島ローカルオーガナイザとしての仕事をされていて、さすがのフットワークだと思いました。

みんなありがとう!

そもそも初オーガナイザは結構難しい

あと、そもそも RubyKaigi 初オーガナイザは結構難しいところがあるのでそれを乗り越えなければならなかったと思いました。

すなわち、「RubyKaigi というのはこういうものだ」とか「こうあるべき(?)」とかいうイメージが、Mr. RubyKaigi の@a_matsuda さんたちには非常にしっかりされていて、それを、参加もしたことがない広島チームが、おぼろげに手探りでやっていったのですが、どうせわしらは知らないんだから、そこら辺はもっとちゃんとしっかり聞いていくようにした方がよかったなあということです。

しかし、「聞くこと」はしていたつもりでもあるんですが、終わってみると、まだまだ徹底しておくべきだったとか、雰囲気がわかってなかったなあと思ったりしました。

このあたりは、@a_matsuda さんと#SakaguraKaigi in Saijo 西条酒蔵巡りツアー RubyKaigi::afterで美酒鍋をほおばりながら、「当日スタッフの広島の人もたくさんいたので名前と顔が一致してなかった」ということも含めて、今年はチームビルディングがいまいちだったねえということを話しました。美酒鍋おいしかったです。

RubyKaigi 初参加して思ったこと

さてここからは RubyKaigi に初めて参加して思ったことを書いてみます。

RubyKaigi は本当にカリカリにとんがっていた

噂に違わず、RubyKaigiのメインは紛れもなく珠玉の講演たちだという @a_matsuda さんのおっしゃる通り、各講演が本当にカリカリにとんがった Ruby の話でした。

いくつか過去のビデオを見たことはありましたが、年年その傾向は増しているのでしょうか、とても世界でもぶっちぎりナンバーワンの Ruby のカンファレンスだということが感じられました。

しょっぱなの nobu さんの基調講演最高だった

いわゆる口が達者な方ではないですが、the patch monster と呼ばれ、Ruby 本体に日々大量のパッチを出されている nobu さんの講演は、ものすごくエキサイティングで、nobu さんはエンタテイナだと思いました。衝撃でした。ネタバレになるのでリンクだけ: Keynote - RubyKaigi 2017 です。初見ではこれは衝撃を受けるのでは。

Matz の基調講演がモジュールの話だった

上記のように、わしは、2月の東京スタッフの広島の下見のときに、「クラスとモジュールの違いがわかってないです」などと自己紹介したんですが、なんと今回の Matz の基調講演がモジュールの話でした! まるでわしに語ってくれたかのようでした! (違)

さらにその後も部屋 Cosmos で @shioyama さんの The Ruby Module Builder Pattern - RubyKaigi 2017 というセッションでもモジュールの話が出たし、とても勉強になりました。

当日はセッション部屋張り付きスタッフをしていて全部は聞けなかったので、ビデオを活用したいと思います。

この RubyKaigi で感じた 2 つのこと

(1) Ruby が何を大切にしているのか

なんというか近年の「未来の Ruby」の話の、cocurrency とかパフォーマンスとかって、かなり Ruby の「機能」というか「本質」の話なので、よくテーマに上がっていましたが、初日の Ruby Committers vs the World で、右代入の話にかなりの時間を使っているのを聞いて、感銘を受けました。

「ああ、そうか、こういう記法の話も Ruby にとっては「本質」なんだ。」と思ったのです。

右代入があるかないかって別に、数学的にはどっちでも同値なんだし、(特にチューリング完全で書き換えるとかそういうレベルじゃなくて本当にその場で簡単に同値) そんな本質の話じゃないのに、そんなにコミッタの間で、しかもステージ上でしっかり扱う話題なんですよね。

型の話は、言語の機能と、見た目の話の中間みたいな感じがしますが、それも盛り上がっていました。型の話も、やはり型を書く言語が今流行だけど、型を書くこと自体は、人間が計算機に歩み寄っているようなことでもある気がしていて、Matz は特にできるだけ Ruby ユーザに型を書かせたくないという意見で興味深く見ていました。

そういう、「どう書けるか」というところも Ruby コミッタの皆さんは本当に大切にしているんだなあということ、それがこの Kaigi ではっきりと認識出来ました。

それを @a_matsuda さんに話したら、そうそうそういう「手触り」みたいなのを含めて Ruby はデザインされているし、ちょっとした記法の変更でも何年も何ヶ月も議論をしてやっと入ったりする、Matz の哲学が行き届いている(?)というようなことを教えてもらいました。

(2) 真の意味で内容勝負。口がうまいだけの人なんて一人もいない

他のカンファレンスでは、いわゆるしゃべりがうまい、きれいに見事に説明できる「講演のうまい人」が登壇されることもありますが、RubyKaigi はそれだけの人は全くいませんでした。あえて RubyKaigi に対してこれを述べるのも失礼かもしれません。しかし他のカンファレンスではそうでもないと思っているのであえて書いてしまいました。 (もちろんうまい人も大勢です。うまい「だけ」の人がいないということです。)

わしは nobu さんがその典型だと感じました。決して説明がうまい、しゃべりが上手という方ではないですし、序盤はのらりくらりとした説明で、「一体どんな講演になるんだろう」と思いましたが、煙に巻くようものでは全くなく、本当に nobu さんが普段されている Ruby 開発の紹介 + デモになっていて感銘を受けたし、しかも基調講演として選んでしまう RubyKaigi ってすばらしいと思いました。

あと Wi-Fi すごかった

凄腕プログラマ @sorah さんが Wi-Fi 環境構築をされていたのがすごかったです。事前に wktk 紹介記事を書こうかと思っていたんですが、間に合いませんでした。

事前準備の様子を端で見ていたら、

  • さっぱり知らないネットワークの知識がバンバン流れている
  • 1キロメートルを超える LAN ケーブルを発注
  • アクセスポイントもたくさん調達
  • 「ケーブルをまき直す作業が地味に重要だ」など細かいノウハウも
  • DHCPや監視などのサーバ類をばしばしクラウド上に構築 (itamae の事例をほとんど見たことなかったのでそれも勉強になった)

などなどで、個人的に当日がとても楽しみだったのでした。

詳しくはご本人によるリポートがこちらに出ていますのでどうぞ: RubyKaigi 2017 で Wi-Fi を吹いてきた #rubykaigi - diary.sorah

おまけ: 1 セッションだけ MC した

@jmettraux さんの Flor - hubristic interpreter だけ MC をさせてもらいました。

司会者チームには事前エントリしてなかったんですが、 @jmettraux さんに「わたしのセッションのときに、わたしを紹介してくれませんか?」と流暢な日本語で頼まれたので、嬉々として1セッションだけ MC をさせてもろうたんです。English の文学的な掛詞を入れたりしました。楽しかったです。(コナミ環)

ネットでしか知らない人にたくさんお会いできた

@miyagawa さん
@Dominion525 さん

7年ぐらい前から Twitter 友だったけどお会いしたことがなかった。

@mzp さん

Dominionさんのお仲間

@ken_c_lo

デザインでよく参考にさせてもらっていたスライドやブログやツールの作者で、esa の人と全然知らず(笑) に PayPal ドリンクアップでお話。

@miyohide

同級生、卒業以来実に16、17年ぶりぐらい。

次回は仙台

次回は仙台開催です。必ず行きます、行けたら!